
Last Updated on 03-17-25 by Shinichi
家を買うことを考えると、日本とアメリカでは大きな違いがあります。日本では最近、まず投資用の物件を買うことが勧められることが多いです。しかし、アメリカでは自分が住む家を買うことが非常に重要とされており、それが多くの人にとって最も確実な投資の一つと言われています。この違いには、経済的な背景や文化的な価値観が関係しています。それがどのように影響しているのかを見ていきましょう。
1. アメリカで住宅購入の経済的なメリット
アメリカで家を買うことが勧められる理由の一つは、経済的な安定と資産を増やすことにあります。アメリカでは、家を買うことが資産形成の主な方法とされています。住宅ローンを使って、家賃を払う代わりに少しずつ自分の家を所有することができ、将来にはその家が資産になります。つまり、家はただの住まいではなく、将来的に価値が増えることを期待できる投資対象でもあるのです。
投資家のピーター・リンチも「株で勝つ」という本の中で、株式投資を始める前にまず自宅を買うことが大切だと言っています。自宅購入の前に株式投資を始めるべきではないとさえ言っています。これは、家が安定した資産となり、リスクの高い他の投資をする際に安心できる基盤を作ってくれるからです。長期的に資産を増やしていく上で、家の重要な役割を強調しています。
著者David BachによるAutomatic Millionaire (自動で億万長者になる方法)というNew York Times ベストセラーリストにもランクインした本の中でもアメリカにおける住宅購入の重要性が強調されています。
実際に、自宅所有者(Home owner)の平均資産額は$255,000であるのに対して、賃貸に住む人の平均資産額は$6,300です。この約40倍の差は、単にお金持ちが住宅を購入できるという理由だけでなく、家を所有することで資産形成がしやすくなることを示しています。
2. 税制上の優遇措置
アメリカでは家を買った人に対して税金面での優遇措置が多くあります。例えば、住宅ローンの利子が所得税の控除対象になるため、これが家を買う大きな動機となります。このような税制のメリットにより、家を持つことが賃貸に住むよりも経済的に有利なことが多いです。一方、日本では住宅ローンの減税はあるものの、アメリカほどの優遇措置はなく、投資物件を先に買う方が効率的に資産を増やせると考えられることがあります。
3. 不動産の価値が長期的に増えること
アメリカの住宅市場では、長期的に見て家の価値が増える傾向があります。これは、広い土地や人口の増加、そして住宅の需要が高まっていることに支えられています。そのため、家を買うことで資産価値の増加が期待でき、将来その家を売る時に利益を得られる可能性が高いのです。
一方、日本では少子化や高齢化によって住宅の需要が減少し、都市部以外の不動産価値が下がることがあります。そうした背景から、自分が住む家を買うよりも、収益性の高い投資物件を選ぶ方が良いとされることが多いです。
4. 賃貸料と住宅ローンの比較
アメリカでは、毎年賃貸料が大きく上がり続ける一方で、住宅ローンは固定金利であることが多いです。これにより、家を購入することで長期的な経済的安定を得ることができ、毎月の支払いが予測可能になるというメリットがあります。ほとんどの人は最初の住宅はローンを組んで買うことになり、購入直後は確かに賃貸料よりも毎月の住宅ローンの支払いの方が高額です。しかし、5年もすれば、賃貸料の相場が住宅ローンの支払い額に追いつき、10年もすれば確実に追い越していきます。つまり、自宅購入後10年もすれば、賃貸相場よりもかなり安い月々の支払いで、より広く、部屋数も多い庭付きの家に住めるようになります。これは私が実際に経験したことでもあります。同時にローンの元本が減り続けており、自宅の評価額とローン元本の差が自分の資産となります。賃貸に住み続けた場合は、この資産の増加が全く見込めないことになります。
5. 文化的・心理的な価値
アメリカでは、家を持つことが成功の象徴とされています。家を所有することは、家族のための安定した環境を提供し、地域社会への参加意識を高めることにつながります。この心理的な価値も、家を買うことが勧められる理由の一つです。特に、家を持つことは「アメリカンドリーム」の一部であり、経済的な安定や社会的な成功を示すものと考えられています。
6. アメリカ在住者実体験
アメリカに移住する場合や長期で居住する場合は、一日も早く自宅を購入するべきと考えています。アメリカのS&P連動型の投資信託なども非常に利回りは良いですが、何を置いても自宅購入を優先する方が、ほぼすべての普通の人にとって確実な投資だと実感しています。その自宅購入の頭金を運用して年利100%の利益を出せるような人などは例外でしょうが、そのような特殊な投資スキルの無い人にとっては、最も確実な資産形成は自宅購入だと思います。
アメリカで住宅購入のまとめ
日本とアメリカでは、家を買うことに対する考え方や経済的なメリットに大きな違いがあります。日本では投資物件を買うことが資産を増やす主な方法とされていますが、アメリカでは家を買うことが安定した資産を作る基盤とされています。この違いは、それぞれの国の経済状況や文化的な価値観に基づいています。どちらが自分に合っているかは、ライフスタイルや目標によっても変わってくるでしょう。アメリカで家を買おうと考えている人は、これらのメリットを理解し、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
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更新日: 12/29/2024